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介護記録をAIで書くとどうなるか|音声入力との違いと、人が確認すべきところ

介護記録を書く時間がなくて、ChatGPTや生成AIに任せてみようかと考えたこと、ありませんか。

「音声入力で話せば記録になる」という話も聞くし、「生成AIに丸ごと書かせている」という話も聞く。似たような話に聞こえますが、この二つはやっていることが違います。このページでは、その違いと、AIに任せたときに何が抜けやすいかを、食事の場面を例に整理します。

ここでの「AI」は、ChatGPTのような生成AIと、記録を自動で組み立てる専用ツールの両方を指します。以下の説明は一般的な傾向であり、実際の挙動はサービスによって異なります。

音声入力とAI生成は、やっていることが違う

まず言葉の整理から。

  • 音声入力:話した言葉を、そのまま文字に変換する。話していない内容は増えない。
  • AIによる文章生成:渡した情報(観察項目・キーワードなど)をもとに、AIが新しい文章を組み立てる。話していない内容や書いていない内容が、文章として補われることがある。

音声入力は「言った通りに文字になる」ので、記録としての正確さは話した内容に依存します。一方、生成AIは「型に整えてくれる」便利さがある代わりに、渡した情報にない部分をAIが推測して埋めてしまうことがあります。この「埋める」働きが、便利さと同時にリスクの源になります。

AIに渡す情報が薄いと、文章がAIの創作で埋まる

生成AIに記録を書かせたときに一番起きやすいのが、これです。

例えば、「むせがあった」という一言だけをAIに渡すと、AIは「とろみを付けて対応した」「その後は落ち着いて摂取された」といった対応や結果を、勝手に補って文章にすることがあります。実際にそう対応したなら問題ありませんが、していない対応が書かれてしまうと、記録としては成り立ちません。

これを避けるには、AIに渡す時点で 事実・対応・結果 の3点をできるだけ揃えておくことが有効です。

  • ✗ AIへの指示:「食事中にむせていたので記録を書いて」
  • ○ AIへの指示:「お茶でむせが見られた。とろみを付けて対応した。その後はむせなく摂取された。これを記録の文章にして」

後者のように材料をそろえてから頼むと、AIは文章の型を整える役割に留まり、内容を作文する余地が減ります。

場面別に見る、AIに渡す材料と確認ポイント

詰め込み・早食い

  • 材料の例:「口に食べ物を詰め込む様子が見られた。声かけでペースを調整した」
  • 出てきた文章の確認ポイント:AIが「誤嚥リスクが高いため」のような原因を勝手に付け加えていないか。原因は、実際に確認できたことだけを残す。

口の中に食べ物が残る

  • 材料の例:「頬の内側に食べ物が残りやすい。一口ごとに飲み込みを確認しながら介助した」
  • 出てきた文章の確認ポイント:「舌の筋力が低下しているため」といった評価をAIが断定で書いていないか。原因が未確認であれば「〜の可能性がある」「〜を検討する」に直す。

覚醒が悪い・傾眠

  • 材料の例:「食事中に傾眠が見られた。声かけと姿勢調整で覚醒を促した」
  • 出てきた文章の確認ポイント:AIが「体調不良のため」など、確認していない理由を補っていないか。理由が分からない場合は、様子の記述だけに留める。

いずれも、AIが返した文章をそのまま貼るのではなく、「実際に見たこと・したこと」と一致しているかを見比べる作業が要ります。ここは今のところ、人が読んで確認する以外の方法がありません。

AIに任せると抜けやすいもの

正直に書くと、次のようなところは、AIに渡す情報を工夫しても抜けやすいままです。

  • 前回までの経過との比較:AIはその場で渡された情報しか知らないので、「前回より摂取量が増えた」のような継続的な比較は、渡す側が明記しないと反映されません。
  • 施設ごとの言い回し・様式:施設で決まっている表記ルール(敬語の使い方、略語など)は、AIが自動で守ってくれるとは限りません。
  • 事実そのものの正しさ:AIは目の前の利用者さんを見ていません。書いた文章が事実と合っているかどうかは、最終的に見た人が判断するしかありません。
  • 個人情報の扱い:外部の生成AIサービスに氏名や具体的な状態を入力する場合、施設の情報管理ルールに沿っているかを、事前に確認しておく必要があります。

生成AIは「文章の型を整える」ところまでは助けになりますが、「何が起きたかを保証する」ことはできません。そこは書く人が最後に見る、という役割分担で使うのが現実的だと考えます。

材料をそろえる手間を、先に減らしておく

ここまでの内容から分かるように、AIをうまく使うコツは「AIに渡す材料を、事実・対応・結果の形でそろえておく」ことです。逆に言えば、この材料をそろえる作業そのものに時間がかかるなら、AIを挟むメリットは薄くなります。

そこで、観察したこと(むせ・詰め込み・口に残る など)にチェックを入れると、事実・対応・結果がそろった文章を直接組み立てるツールを作っています。AIに渡す材料を別途そろえる手間を省き、確認する作業だけに時間を使えるようにする、という考え方です。個人で月あたり数百円から使えます。

※ このページの内容は、AIを使う・使わないに関わらずお使いいただける考え方です。ツールはあくまで「材料をそろえる手間を省きたい」方向けの選択肢です。

よくある質問

Q. ChatGPTに介護記録を書かせるのは避けたほうがいいですか?
使い方によります。渡す情報が薄いと、していない対応や確認していない原因を文章が補ってしまうことがあるため、事実・対応・結果を先にそろえて渡し、出てきた文章を必ず見比べることをおすすめします。

Q. 音声入力だけで記録は完成しますか?
音声入力は話した内容をそのまま文字にするものなので、話す内容自体が事実・対応・結果の形になっていれば、記録に近い文章になります。話が単発の事実だけだと、文章としては薄いままです。