「記録はSOAPで」と言われたものの、S・O・A・Pのどこに何を書けばいいのか迷ったこと、ありませんか。
時系列でそのまま書くのに慣れていると、4つに分けろと言われても手が止まります。主観と客観の境目も曖昧になりがちで、結局いつもの書き方に戻ってしまう。このページは、そこを食事介助の場面で具体的に整理するためのものです。
SOAPは記録の型の一つです。施設によって運用の細部は異なります。ここでの分け方は一つの目安として、実際の記録は所属先の様式・ルールに合わせてお使いください。
S・O・A・Pに何を書くか
食事の場面に当てはめると、次のように整理できます。
- S(主観的情報):利用者さん本人の発言。「おいしい」「もう食べたくない」など、本人が言ったことをそのまま書く
- O(客観的情報):見たこと・測ったこと。むせの有無、摂取量、姿勢、食事にかかった時間など、誰が見ても同じになる事実
- A(アセスメント):Oの事実をどう解釈したか。「〜と考えられる」「〜のことがあります」の語尾で、断定せずに書く
- P(プラン):次にどうするか。継続する対応、変更する対応、相談する相手などを書く
Sが無い、あるいは聞き取れない場面(発語が難しい方など)は、S欄を省いてO・A・Pだけで組み立てても構いません。
場面別の例文
むせ(食事中)
- S:「むせちゃった、大丈夫」とご本人より発言あり。
- O:食事中盤、汁物摂取時にむせが見られた。摂取ペースはやや速め。
- A:食事形態と摂取ペースが合っていない可能性が考えられる。
- P:一口量を少なくし、飲み込みを確認しながら介助を継続する。改善が見られなければ食事形態の見直しを検討する。
水分でむせる
- O:お茶を摂取した際にむせが見られた。とろみは未使用。
- A:とろみの必要性、またはとろみ濃度が合っていない可能性が考えられる。
- P:とろみ剤の使用を検討し、看護師へ報告する。
詰め込み・早食い
- S:「早く食べたい」とご本人より発言あり。
- O:口の中に食べ物を詰め込む様子が見られた。飲み込みを待たずに次を口に運ぼうとする場面あり。
- A:摂食ペースの調整が必要な状態と考えられる。
- P:一度手を止めてもらい、飲み込みを確認してから次の一口を促す。見守りを強化する。
食事中にゴロゴロした声になる
- O:食事中、ゴロゴロとした湿性の声が聞かれた。
- A:ノドに食物が残っている状態のことがあります。
- P:複数回嚥下・交互嚥下を促しながら介助する。継続する場合は看護師へ報告し、食形態の見直しを相談する。
口の中に食べ物が残る
- O:飲み込んだ後も頬の内側に食べ物が残る様子が見られた。
- A:頬・舌の筋力低下、または食事形態が合っていない可能性が考えられる。
- P:一口ごとに飲み込みを確認しながら介助する。食後の口腔内確認を行う。
意識レベルの低下
- O:食事中、声かけへの反応が乏しく、覚醒が不良であった。
- A:内服薬の影響、低血糖・低血圧・脱水などが考えられる。
- P:バイタルチェックを行い、看護師へ報告する。安全のため、覚醒が不良な間は食事を中断する。
SOAPで書くときに気をつけたいこと
- OにAを混ぜない。 「むせが見られた(原因は食形態が合っていないため)」のように、Oの中に解釈を書いてしまうと、後で読んだ人が事実と推測を区別できなくなります。Oは見たことだけ、解釈はAへ
- Aは言い切らない。 「〜のため」ではなく「〜のことがあります」「〜と考えられる」。原因の特定は多職種で行うものであり、介護記録の一文で断定するものではありません
- Pは次のアクションまで書く。 「様子を見る」で終わらせず、「誰に」「何を」相談・報告するかまで書くと、次に読む人が動きやすくなります
例文を「毎回組み立てる」のをやめたい方へ
ここまで読んで、「場面ごとにS・O・A・Pを毎回考えるのも大変だな」と感じたかもしれません。
実は、そのためのツールを作っています。食事の様子で気づいたこと(むせ・詰め込み・口に残る など)にチェックを入れると、その場面に合った記録の文章が自動で組み上がる、というものです。SOAPに限らず、施設の記録様式に合わせて文体や長さも調整できます。
毎回ゼロから文章を組み立てる作業を、丸ごと省くための道具です。個人で月あたり数百円から使えます。
※ このページの例文は無料でご自由にお使いいただけます。ツールはあくまで「毎回組み立てるのが面倒」という方向けの選択肢です。
よくある質問
Q. SOAPのAとPを分けずに1つにまとめて書いてもいいですか?
施設によっては様式上まとめて運用しているところもあります。所属先のルールに合わせて調整してください。ここでの分け方はあくまで一つの目安です。
Q. Sが聞き取れない利用者さんの場合はどう書けばいいですか?
無理に埋める必要はありません。O・A・Pの3つだけで記録を組み立てても問題ありません。表情やしぐさなど非言語の様子はOに書くことができます。