食事の記録を書いた後に、こんなことはないでしょうか。
提出した後で、摂取量の数字を書き間違えていたことに気づいた。むせの有無を逆に書いてしまっていた。あるいは、別の利用者さんの対応に追われてそのときは書けず、後からまとめて書くことになった。
どちらも、消して書き直せば済む話ではありません。記録は「いつ・誰が・何を書いたか」が残ることに意味があるため、訂正や追記にも書き方の型があります。このページは、その型を食事の場面の例でまとめたものです。
このページは書き方の型を示すものです。訂正・追記の具体的な手順(二重線か取消線か、押印が必要かなど)は施設ごとのルールが優先します。迷ったときは、まず施設の記録ルールやマニュアルを確認してください。
訂正と追記、考え方の違い
まず、この2つを分けて考えると書きやすくなります。
- 訂正:すでに書いた内容が間違っていたときに直すこと。
- 追記:書いた時点では正しかったが、後から気づいたことを書き足すこと。
どちらも「元の記録を消してしまわない」ことが共通しています。間違いに気づいた経緯や、後から分かった事実自体も、記録の一部として残しておく考え方です。
訂正の書き方(書き間違えたとき)
言葉を訂正する
- 「全量摂取」と記載していたが、実際は主食のみ全量・副食は半量だったことに気づいた。該当箇所を二重線で消し、「主食全量・副食半量」と訂正。訂正日・記入者を付記した。
- 「むせなし」と記載していたが、別のスタッフから確認を受け、食事後半に軽いむせがあったことが分かった。該当箇所を取消線で残し、「食事後半にむせあり」と訂正記載した。
- 利用者名を記載する欄で、別の利用者の内容を書いてしまっていたことに気づいた。該当箇所を二重線で消し、正しい利用者名で訂正したうえで、訂正の経緯を一言添えた。
数字を訂正する
- 水分摂取量を「200ml」と記載していたが、実際の計測値は「150ml」だったことに気づいた。数字部分を二重線で消し、正しい数値に訂正。訂正日を記載した。
- 摂取量の割合を「8割」と記載していたが、下膳時の確認で「6割」が正しいと分かった。該当箇所を訂正し、確認した経緯(下膳時に確認)を添えた。
訂正するときに共通して気をつけること
- 元の記載が読めなくなるほど塗りつぶさない。何を・なぜ訂正したかが後から追えることが目的のため。
- 訂正した日付と、誰が訂正したかが分かるようにしておく。
- 訂正の理由(見間違い・聞き間違い・確認不足など)は、書けるときは一言添えておくと、後から読む人が経緯を追いやすくなる。
追記の書き方(後から気づいたとき)
その場で書けなかった内容を後から書き足す
- 食事中にナースコール対応が重なり、その場では記録できなかった。食後にまとめて記載する際、実際に観察した時間を本文に明記したうえで記載した。
- 食事の記録を一度提出した後、利用者の家族から「最近食欲が落ちている気がする」という話を聞いたことを思い出した。追記として、聞いた日時・内容を分けて書き足した。
- 食後の口腔ケアの記録を書き忘れていたことに、翌日の記録を書く際に気づいた。追記として、実施日・実施内容を明記して書き足した。
追記するときに共通して気をつけること
- 追記した日が、出来事が起きた日と違う場合は、両方の日付が分かるように書く(「〇月〇日の食事について、〇月〇日に追記」のような形)。
- あたかもその場で書いたかのように、元の記録の文体に紛れ込ませない。追記であることが分かる見出しや書き出しを置く。
- 誰から聞いた情報か(本人・家族・他スタッフなど)は、追記でも事実と伝聞を分けて書く。
複写式の記録用紙を使っている場合
施設によっては、複写式(カーボン紙でコピーが取れる用紙)の記録用紙を使っていることがあります。この場合、1枚目を訂正すると下の用紙に反映されない、または反映されすぎて読みにくくなることがあります。
- 複写式の用紙では、強い筆圧や修正液の使用がすべての枚に影響することがあるため、訂正は二重線など、各施設で決めた方法に揃えておくと、どの枚を見ても同じ訂正内容が分かります。
- 控えとして保管する枚にも訂正・追記の跡が残ることを踏まえ、消してしまわずに残す運用にしているところもあります。
複写式かどうか、訂正方法に施設独自のルールがあるかは、記録用紙の管理担当者や先輩職員に確認しておくと安心です。
電子記録(記録ソフト・システム)で訂正・追記する場合
電子的な記録システムを使っている場合は、紙と違って入力し直すだけで元の内容が見えなくなることがあります。
- システムによっては、更新履歴(誰が・いつ・何を変更したか)が自動で残る仕組みを持つものもあります。自分の施設のシステムにその機能があるかを、事前に確認しておくと、訂正時に慌てずに済みます。
- 履歴が自動で残らないシステムの場合は、紙の記録と同じように「訂正した日付」「訂正前の内容」「訂正の理由」を本文中に残す書き方にしておくと、後から経緯を追えます。
- 追記の場合も同様に、入力日時と、出来事が起きた日時が違うことをシステム上でも分かるようにしておくと、読み返す人が混乱しません。
訂正・追記を減らすために
訂正や追記そのものは、悪いことではありません。気づいたことを後から正しく残す、という意味では、むしろ丁寧な対応です。
一方で、訂正が重なると「その日の記録」自体が読みにくくなっていくのも実際のところです。書く時点で、事実・対応・結果を一続きに書いておくと、後から見返したときに訂正が必要な箇所も見つけやすくなります。
このあたりの「最初から整った形で書く」部分を支援するために、食事の様子で気づいたことにチェックを入れると、その場面に合った記録の文章が自動で組み上がる道具を作っています。訂正・追記のルール自体を代わってくれるものではありませんが、最初の記載を整えておくことで、後から直す手間を減らす方向には役立てられると考えています。
よくある質問
Q. 訂正は修正液や消しゴムで消してもいいですか?
記録は「何を・なぜ直したか」が後から追えることが大切なため、完全に消してしまう方法は避け、二重線など元の内容が読める形で訂正することをおすすめします。具体的な方法は施設のルールに従ってください。
Q. 追記はどのくらい時間が経ってからでも書いていいですか?
時間が経っていても、気づいた時点で追記すること自体に意味があります。ただし、出来事が起きた日と追記した日がずれていることが後から分かるように書くことを心がけてください。