特記事項の欄を前にして、何を書けばいいのか手が止まること、ありませんか。
日々のバイタルや食事量の欄は迷わず埋められても、自由記述の特記事項になると急に筆が重くなる。書くことが無いわけではなく、むしろ多すぎて「どれを書けばいいのか」「どの順番で書けばいいのか」が決まらず、結局いつもと同じ一言で終わらせてしまう——そういう場面のためのページです。
特記事項に書くのは「いつもと違ったこと」
特記事項は、毎日の定型欄(食事量・水分量・排泄など)では拾いきれない出来事を残す欄です。書くかどうかで迷ったときの基準は、その日、いつもの対応や様子と違うことがあったかどうかです。
- 書く:普段と違う対応をした、普段と違う様子が見られた、普段と違う人が関わった
- 書かない:普段どおりの経過(定型欄で足りる範囲)
食事の場面でいえば、次のようなことが「いつもと違ったこと」に当たります。
- 食事形態や座席、介助者などいつもと違う条件で食事をした
- むせ・拒否・傾眠など、普段は見られない様子があった
- 家族や他職種(看護師・栄養士など)が食事の場に関わった
- 声かけへの反応がいつもと違った
時系列でまとめると、読み手が状況を追える
特記事項が読みにくくなる原因の多くは、出来事の前後関係がバラバラに書かれていることです。気づいた順に書き足していくと、結果として「何が先に起きて、何が後で起きたのか」が読み手に伝わりません。
対策はシンプルで、気づいた時刻の早いものから並べることです。時刻がはっきりしない場合も、「食事開始時」「食事中盤」「食後」のように、食事の流れに沿った順番で書くだけで読みやすさが変わります。
- ✗ むせがあった。声かけへの反応も悪かった。開始前から表情が硬かった。
- ○ 食事開始前から表情が硬い様子が見られた。開始後、声かけへの反応がいつもより乏しく、食事中盤にむせが見られたため、とろみを追加して対応した。
事実を並べる順番を変えるだけなので、追加の情報を集める必要がない点も、時系列でまとめる利点です。
特記事項によく使う言葉と、避けたい言葉
特記事項は自由記述だからこそ、言葉選びで印象が変わりやすい欄です。事実を先に書き、評価や解釈はそのあとに添える順番を基本にします。
✗ 機嫌が悪くて困った。
○ 声かけに対して返事がなく、視線を合わせない様子が見られた。時間をおいて再度お声かけした。
✗ 特に問題なし。
○ 食事全体を通して普段どおりの様子で、むせなく全量摂取された。
「特に問題なし」は書く側には楽ですが、読み手には「本当に何も無かったのか、確認していないのか」が伝わりません。普段どおりだったという事実そのものを短く書くほうが、記録としての意味が残ります。
場面別・特記事項の例文
いつもと違う食事形態・環境だった日
- 体調不良のため、通常より軟らかい形態に変更して提供した。むせなく摂取された。
- 席を通常と変えて食事を提供した。周囲の声かけが増えたためか、摂取ペースがいつもより速かった。
家族・他職種が食事の場に関わった日
- 面会に来られたご家族が食事の様子を見守られた。普段と変わらないペースで摂取された。
- 看護師が食事の場に同席し、水分でのむせの有無を確認した。その場でのむせは見られなかった。
普段と違う様子が見られた日
- 開始から10分ほど、スプーンを持ったまま動きが止まる場面が見られた。声かけで再開し、その後は普段どおりに摂取された。
- 咳込みが数回見られたため、食事を一度中断し、呼吸が落ち着いたことを確認してから再開した。
対応を変えた日
- いつもより一口量を少なくして介助した。詰め込みは見られず、時間内に摂取を終えられた。
- 普段は自力摂取だが、この日は疲労が見られたため、後半を介助に切り替えた。
例文を探す手間そのものを省きたい方へ
ここまで読んで、「その日ごとに文章を組み立てるのも手間だな」と感じたかもしれません。
実は、そのためのツールを作っています。食事の様子で気づいたこと(むせ・詰め込み・こぼれ など)にチェックを入れると、事実・対応・結果をひとまとまりにした記録の文章が自動で組み上がる、というものです。文体(です・ます/である)や長さも選べるので、施設の記録の書き方に合わせて調整できます。
特記事項を一から組み立てる作業を、丸ごと省くための道具です。個人で月あたり数百円から使えます。
※ このページの例文は無料でご自由にお使いいただけます。ツールはあくまで「毎回組み立てるのが面倒」という方向けの選択肢です。
よくある質問
Q. 特記事項には何文字くらい書けばいいですか?
文字数の決まりは施設ごとに異なることが多いです。目安としては、いつもと違った出来事とその対応・結果が伝わる長さで十分とされることが多く、無理に長くする必要はありません。
Q. 特記事項に書くか、ヒヤリハット報告書に書くか迷います。
転倒や誤嚥など、施設内の報告様式が別に定められている出来事は、そちらの様式を優先し、特記事項には概要のみを残す運用にしている施設もあります。判断に迷う場合は、施設内のルールを確認するか、上長に相談することを検討してください。